KAZUHARU HANADA：Sea and Refrain

花田和治（はるだ　かずはる）は1946年に北海道札幌市に生まれ、青年時代には東京芸術大学油絵学科に入学しました。70年代の東京藝術大学は、西洋美術教育に関しての指導能力を完璧に備えていると思われました。それと同時に、花田氏の師匠としての小磯涼平（こいそ　りょうへい）が印象派については深刻的かつ全面的な研究と実践を行ったことがあるので、花田氏は西洋現代絵画の流行りトレンドをより全面的に理解させることができるようになりました。初期の芸術創作では、花田はできるだけ多くの流派を試し、ポスト印象派、立体主義、シュルレアリスムなどの戦前芸術スタイルから戦後の抽象表現主義に至るまで、個人の経験的な手がかりも抽象表現主義の発展コンテクストに合致しました。

1994年に創作された『春の波（Waves in Spring）』という一作は、花田氏が各種の美術スタイルを体験し経歴した後の個性的な成熟段階に達した作品だと思われる。そのつぎ合わせ方は一般的にトリプティク(三連祭壇画)と呼ばれるが、こちらはそれよりむしろ三曲屏風だと呼べれば一層適格だと思ふ。障屏画は日本での所謂琳派の主要な芸術的な表現手段であり、波と岩も琳派において水景描写の古典的なモチーフです。花田氏に呈しされた波は水の細かくて滑らかさと石の硬さを備えているだけではなく、彼はこのような古典的なモチーフを物性的に反転、融合、統一し、理性的な韻律と「心情の美学」を独特な協奏曲のようなことにさせました。花田氏の創作手法では、画面中のフォームはハード・エッジのスタイルからの影響を受けながら、質料の純粋性と二次元空間の平面性を映していると同時に、これもグリーンバーグ式のモダニズムの響きだと感じられます。しかし、花田氏の絵画は自分自身ぶりの独特性を持つ一方で、西洋中心のモダニズムに付き従わずに、彼に影響を深く及ぼした芸術家福田平八郎（ふくだ へいはちろう）の『雨』は、人工機械的な重複と「物哀（もののあはれ）」の間のテンスを示している。江戸時代の琳派集大成者尾形光琳（おがた こうりん）は、その作品『燕子花図屏風』は金色、青色と緑色の三色だけで燕子花（かきつばた）の動勢を表現し、そのように妥協を少しでもつけない姿はその時代の「ハード・エッジ」のような作です。

だから、花田氏の創作スタイルの中についた抽象及びハード・エッジの跡形付けは、西洋画からのだけでなく、日本の伝統美学にも根付いています。もちろん、日本美術とヨーロッパの現代絵画の間にあった相互作用の影響をも考慮に入れると、こう言う文化の広がるコンテクストの中には芸術性または物性ということが現時点に琳派で伝承し継がれていることを理解させます。もし西洋哲学は主体と客体の二元論のような人間と自然の対立を表せれば、日本の美学が自然に対する配慮は「有心体」と「心之趣」の趣旨を映していると思われる。花田氏が言ったとおり、「素描又は彩りに恵まれたもののどちらに対しても、草木のような充実感と生命力を画面に注入したいと心から希望を注ぎます」。

花田氏の成熟期に達した作品の殆どは、故郷の温和な景色及び恬静の雰囲気、特に海に関しての描写が自身の独特なユーモア調によって表され、それで故郷への深い愛情を託しています。花田氏が使った抽象的な仕方は、西洋画と日本画の間には取捨選択、探索と吸収転化を行ってこのすべては最終的に純粋な自然に戻り、北海道でのスタジオの小さな窓を通じて、「海と反復の奏名曲」を私たちの視界に持ち込んだ。